シグナス

シグナスについて

1982年にヤマハ発動機からリリースされた「CYGNUS XC180」。2年後に発売された「CYGNUS XC125」により、シグナスの名はじわじわと知られるようになりました。前作との違いはその名の通り排気量で、171ccで力強い走りや高速道路でのツーリングも可能だったXC180に対し、XC125は124ccと少し抑え目。通勤・通学のニーズに応えるために利便性を高めた一台です。1995年にフルモデルチェンジされて登場した「CYGNUS XC125T」は、メットインの容量が拡大され、A4サイズの書類を折らずに入れることができるようになりました。1993年に厚生労働省から「省庁の行政文書をA4規格とする」旨の通達があったことから、今後A4サイズが主流となることを見越した対応だったのでしょう。 シグナスで大きなヒットを生んだのは2003年に発売された「CYGNUS X」。ヤマハの原付二種スクーターの代表格に成長したシグナスXは、「タフネス・コンフォート・コミューター」の言葉通り、堅牢な車体と快適な走行性能が魅力です。また価格帯も30万円前後と比較的安価で、学生や新社会人からも人気がありました。翌年から発売された「CYGNUS-X SR」は、サスペンションなどが一部変更されたスポーティーなモデルで、こちらも前作同様の利便性が評価されていました。2007年、2015年には相次いでフルモデルチェンジが行われ、車体の軽量化やディスクブレーキの採用を進めました。排ガス規制などの環境規制強化に対応することができたのも、このような変化のおかげと言ってよいでしょう。 なお、一部の車種の生産拠点を置いていた台湾でも、ペタルディスクローターの特別仕様車「CYGNUS-X FI」の販売が行われています。ヤマハの特徴として、顧客をセグメント別に分類し、そのそれぞれのニーズに応えるような商品を海外展開している点があります。例えば「CYGNUS-L」は101ccの排気量で、普段は主に自転車を使用している中国の女性をターゲットに置きました。また「CYGNUS RAY 」と「CYGNUS RAY Z」はそれぞれ2012年、2013年に発売が開始されましたが、この商品は目覚ましい経済発展が続くインドの若者を中心に販売されています。丈夫で長持ちするという日本製品のブランドイメージも後押しし、販売は好調のようです。 日常生活に密着したスクーターとして、日本や台湾・中国、インドでも人気となっているシグナスシリーズ。シグナスとは本来「はくちょう座」の意味ですが、あらゆる場所で見かけるシグナスは、まさしく夏の空でも見つけやすいはくちょう座のようです。