フォード

フォードの特徴

アメリカ屈指の自動車メーカー・フォードモーター。その始まりは1903年で、自動車の製造開始から5年後に造られた「フォード・T型」が、フォード社の中で名車と呼ばれる最初の1台です。その大きな理由に、大量生産を可能にしたフォード・モーターの初期の製品であったことと、顧客満足度を高めるためのアフターサービスを他企業に先駆けて実施したことが挙げられます。当時としては異例のこのサービスはアメリカ全土で実施され、宣伝効果にもつながり当時大きな話題となりました。 そんな「フォード・T型」は1909年には18,000台の生産台数を超えました。それほど大量に生産することができた理由は、部品の規格化でした。ほかの製品にも転用できる部品をいち早く製造することで、1日1台の生産すらできなかった時代に、1日50台近くの組み上げ作業を完了することができるようになりました。 第一次世界大戦直前の1913年には、世界初となる「ベルトコンベア式組み立てライン」を導入しました。分業化がさらに進み、車体1台の組み立て時間はわずか100分程度になったため、人件費も相対的に下がり、安価な自動車を販売することができるようになりました。製造技術のすべてを習得する必要がないため、スタッフの教育が簡単になったことも功を奏したようです。それまでは一部の富裕層しか持つことのできなかった自動車を、一般市民の交通手段へと変貌させていくことになりました。 まさに「大衆車」となったフォード車でしたが、1922年には高級自動車メーカー「リンカーン」を傘下に入れ、高級車を購入する顧客も取り込もうとしました。そして1938年には「マーキュリー・ブランド」を立ち上げ、中産階級のユーザーに向けた自動車を販売するようになりました。こうして商品の幅を広げることによって、アメリカの全国民を顧客として取り込むことに成功したフォードは、第二次世界大戦後の1949年、戦後初の本格的な新型車「カスタム」をヒットさせます。 その後は中型の乗用車「フォード・トリノ」や、"ティー・バード"の愛称で親しまれる名車「フォード・サンダーバード」、ベビーブーム世代に向け製作され、「フォード・T型」と並ぶ大ヒットを記録した「フォード・マスタング」など、様々な商品を世に送り出してきました。 2016年には「フォード・ジャパン・リミテッド（フォード・ジャパン）」が撤退し、日本でのすべての事業から身を引くことを発表したフォード。またいつの日か、アメ車人気とフォードモーターが日本に戻ってきてくれることを願ってやみません。