ジレラ

ジレラの特徴

巨大バイクメーカーピアッジオの一角ジレラは、イタリアのアルコレに拠点を置いています。創業は1909年と、ダイムラーやハーレーダビッドソンなど自動車産業の草創期からある名門メーカーと同じだけの伝統を持っています。世界で初めてバイクを市販した会社としても知られており、バイクファンの中で一定の評価を受けています。 イタリアメーカー最大の売りは何といってもその魅力にあります。伝統や格式、信頼性では自動車の本場ドイツが他を大きく引き離しています。ヘンリー・フォードが生み出した大衆車という概念はアメリカの代名詞です。発祥の地でもなく、発展の地でもないイタリア、そんなイタリアにも揺るがないアイデンティティがあります。それが機能性です。イタリアブランドは一貫して注目の的となるような強烈な魅力を備えています。フェラーリやアルファロメオにも顕著に表れていますが、奇抜かつ洗練されたデザインと、圧倒的な話題性を呼ぶ性能、これがイタリアブランドのスピリットだといえます。 ジレラは早くからレースに着目しており、バイクのスペックを比較の指標にへと昇華させることに成功しました。各社しのぎを削り性能を向上させ、大衆の前で雌雄を決するレースは、当時これ以上ない娯楽となり、また、当時これ以上ない広告イベントとなりました。ジレラはレースで強いバイクメーカーが市場でも強いという構図を生み出し、多くの人にその名を知らしめることになりました。戦後は自動車業界の台頭により、レースでどれだけ活躍しても売り上げが伸びないという、マクロ経済上の問題に直目、レース至上主義から方針を転換します。しかしスポーティーなブランドイメージを崩すことはありませんでした。 自動車の歴史は、自動車メーカーの歴史でもありました。イタリアのバイクの歴史もまた、バイクメーカーの歴史、なかんづく、ジレラの歴史でもありました。アメリカのバイクなどと違い、流線型を多用したり、重心を地面から高い位置に置いたりと、今日のイタリアブランド像はそのままジレラの美学だと言えます。 1969年には、大型バイクメーカーのピアッジオ傘下へと下ります。ピアッジオはジレラの他にも、アプリリア、デルビ、モトグッチ、ベスパ、リジェなど名だたるバイクブランドを擁しています。ピアッジオにはこれまでなかった本格派・性能重視のラインナップとして迎え入れられます。よりスポーティーさを強調するためにバイクレースにも復帰、好成績を収め、戦略通りの展開となっています。