ルノー

ルノーの特徴

世界最大級の規模を持つ自動車会社・ルノーですが、その始まりは1899年に設立された「ルノー・フレール社」までさかのぼります。フランス国内での自動車の大量生産に成功したルノーは、第一次世界大戦の際にフランス兵を輸送するのに活躍した約1,200台のタクシー、いわゆる「マルヌのタクシー」により一躍有名となります。交通網が発展していなかった当時、4,000人もの兵士をすぐに戦地に送り込むことができたのは、ルノーのタクシーのおかげだったようです。 この出来事により、フランス人の結束を示すのに一役買ったルノー。その後は軍需品の製造にも取り組んだ同社は、戦後は国有化され「ルノー公団」と名称を新たにしますが、1947年には「4CV」というコンパクトカーを発売し大ヒット。フランス国内で初の100万台を超える生産数の自動車となりました。また、日本でも「日野ルノー」の名前で民間タクシーとして使われるなど、第二次世界大戦でダメージを受けた国の復興の立役者となりました。1961年には、4CVの代わりに「シトロエン・2CV」をベースとして造られたハッチバック車「ルノー4」を生産開始し、「クルマのジーンズ」とも呼ばれるほどに普及しました。また1965年には、翌年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「ルノー16」・1972年にはFF駆動方式のハッチバック小型車「ルノー5」を次々と発表し、多くの人気を集めました。 ルノーの１つの転換期ともいえるのが1980年代です。1984年に発売されたミニバンの「エスパス」は、自動車はあくまで交通手段として捉えられていた時代に、「居住空間としての車」という、空間の広さを求める考え方を提案。「モノスペース・コンセプト」ともいわれる、車内に広いスペースをとって快適さを重視する考え方は、現在でも多くの車に影響を与えています。 また、ルノーの取り組みは乗用車の製造だけではなく、モータースポーツへの参戦も行っています。その姿勢は「ルノー・フレール社」当時から変わっておらず、レーシングチーム「ルノーF1」は1977年からF1世界選手権に出場しています。それらの根底には、フランスの企業らしく広告的な側面もありますが、「レースで得た情報や、レースの上位入賞のための技術を、一般乗用車の製作にも活用するという」目的も大きいとされています。 1990年に株式会社と形を変えたルノーは、その6年後には民営化されました。世界的にも有力な自動車メーカーとなったルノーですが、「日産自動車」やルーマニアの自動車メーカー「ダチア」、「韓国SAMSUNG MOTORS」などを傘下に入れ、その動きは加速しています。時代の移り変わりに応じてしなやかに形を変えていくルノーの進化は、今後も自動車マニアだけでなく、多くの人々を虜にしています。