マスタング

マスタングについて

1964年の発売以来、50年以上もフォード社の代名詞的な存在を果たしている中型量産車の「フォード・マスタング」。時代こそ違いますが、フォード車の量産車としては「T型フォード」の名前で親しまれた「フォード・モデルT」に並ぶほどの人気商品といっても過言ではないでしょう。第二次世界大戦後に戦地から帰還した兵士が増加したことが影響し、出生率が増加したいわゆる「ベビーブーム」の世代をターゲットにしたマスタングは、安価な価格設定と飽きの来ないデザイン、必要最低限に絞られたシンプルな機能性が評価され、若年層だけでなくアメリカ国民全体に反響がありました。数々の映画やテレビ番組でも使用されるなど、うまく人々の生活に溶け込んでいったマスタングは、1968年まで販売されていた初代モデルから歴史的なセールスを記録しました。 その後、オイルショックや経営不振など、幾多の困難を経験しながらもその名を残してきたマスタングは、2005年に5回目となるフルモデルチェンジを実施しました。6代目となる新型マスタングは、2006年に日本国内でも販売が開始され、初代フォードのデザインを踏襲した「リビングレジェンド戦略」が話題となりました。エンブレムのギャロッピングホースなどはそのままに、かつてのモデルのデザインを現在風に手直ししたことで、初代モデルへのリスペクトが表現されています。5代目モデルは衝突安全性が問題視されたことがありましたが、本作ではその点にも改善が加えられました。また、光岡自動車は「ガリューコンバーチブル」を製造していますが、これはマスタングへのオマージュデザインとなっている一台です。 現行モデルは2015年に発売されたモデルで、初代から数えると7代目となります。マスタングの初代モデル発売から50年を迎えたため、特別仕様車「50 YEARS EDITION」がリリースされました。この商品は同年4月に350台が発売されたものの、予想を上回る反響からすぐに完売になり、同年中に追加販売されることが決まりました。直列・4気筒エンジンのエコブーストエンジンを積んだ同車は、右ハンドル車も同時に生産され、アメリカだけでなく日本やイギリスなどのマーケットにも販売することが決められています。 ベーシックなデザインで、大衆車として広く認められているマスタング。アメリカ国外での人気も根強く、日本でもこだわりを持って愛用している方がいらっしゃいます。フォード社が日本から撤退を決めた2016年には、日本の自動車愛好家だけでなく多くの方に衝撃を与えましたが、今後の日本マーケットへの復活に期待しましょう。