カイエン

カイエンについて

ポルシェをスポーツカー専門メーカーから脱皮させ成長させ、販売台数を大きく押し上げる立役者となったのがラージサイズSUVです。現行モデルは2017年8月にフルモデルチェンジされた三代目となり、7年ぶりに一新されたカイエンは、ベントレー・ベンテイガ、アウディQ7やフォルクスワーゲン・トゥアレグにも用いられることで有名なMLBプラットフォームを採用しました。ボディにはアルミや高張力鋼板が多く使われ、先代より約65キロの軽量化に成功しました。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがマルチリンク式で、全車AWDながら前後異なるサイズの19～21インチタイヤをはいています。すべての電子制御デバイスを統合制御する「ポルシェ4Dシャシーコントロール」や3チャンバーエアサスペンション、4WSなどの活躍により、ポルシェらしい走りを実現しました。その他、タングステンコーティングを施し、制動力を高めつつ摩耗とダストの発生を大幅に低減した鋳鉄製ブレーキディスク「ポルシェサーフェスコーテッド・ブレーキ(PSCB)」を設定しています。パワートレイン・グレードは3種類で、340ps・450Nmの3.0リットルV6ターボを搭載する「カイエン」と、440psと550Nmの2.9リットルV6ツインターボを採用した「カイエンS」、550psと770Nmを叩き出す4.0リットルV8ツインターボエンジンを持つ「カイエンターボ」の３つをラインナップし、いずれにも8速ATとAWDが組み合わされています。3代目になったカイエンは、ボディデザインのイメージこそポルシェの伝統に従属し、大きく変わっていませんが、中味は大きく進化しています。実はこれもポルシェの伝統芸ということができるのです。3代目のボディサイズはホイールベースが2895ミリメートルで、キャリーオーバーしているのですが、しかし、サスペンションにはリアアクスルステアリングを備えた四輪操舵システムを揃えたり、ブレーキには世界初実用化の粘性を利用した新開発の高性能システムを用意するなど、精進には余念がありません。パワ-ユニットはカイエン、カイエンS、カイエンターボでそれぞれ異なるのですが、しかしペースモデルのカイエンでもV6の3リットルターボを搭載しています。このエンジンは逆回転式のツインスクロールターボを採用し、低回転域からのレスポンスが向上しているのが特筆すべきことのひとつです。トランスミッションは新開発の8速ティプトロニックSオートマチックで、6速で最高速(245km/h～286km/h)に達し、7速と8速はコースティング機能と連動し、高速走行での低燃費化を実現した仕様となっています。ドライビングモードは5つ用意され、通常は「ロード」ですが、グラベル、マッド、サンド、ロックから状況に合わせて選択できます。駆動方式は、いつも4WDでの走行が可能です。