- ホーム
- 中山貴之の防犯コラム
- ディンプルキーとは?交換・合鍵の費用相場から開け方まで
ディンプルキーの仕組みから交換・合鍵の費用相場、開け方まで解説
「ディンプルキーって言われてもどんな鍵だか分からない」
「ディンプルキーの防犯性とか交換費用ってどうなの?」
という疑問を持たれる方はいらっしゃいませんか?
そこで、ディンプルキーとはどのような鍵なのか解説します。他にも、鍵交換や合鍵、費用に関することも解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ディンプルキーとはどのような鍵なのか
まずは、ディンプルキーがどのような鍵なのかというお話からです。わかりやすいように、一般的なギザギザした鍵と比較しながら解説します。
ディンプルキーとは?
ディンプルキーとは、表面や側面に小さなくぼみが開いている鍵のことです。一般的な鍵は側面がギザギザした山になっていますが、ディンプルキーは表面に丸い凹凸が見えます。
このくぼみがディンプルキーの特徴であり、防犯性の秘訣なのです。
ちなみに、ディンプルキーの『ディンプル』とは見た目にある『くぼみ』のことを指しています。
ディンプルキーはピッキングできないから防犯性が高い
先ほど、ディンプルキーのくぼみが防犯性の秘訣だとお話ししました。このくぼみと内部構造によって防犯性は高くなっているのです。
では、一般的な鍵とディンプルキーの構造にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
一般的な鍵の仕組み
一般的な鍵は、ギザギザした部分と鍵穴のピンの高さが一致することで鍵が回る仕組みになっています。
このピンの数が多いほどピッキングがしにくいので、防犯性が高いです。
一般的な鍵だと、内部にあるタンブラーの数が1~2方向になっていて、ピンの数を増やそうにも限界があります。
ディンプルキーの仕組み
ディンプルキーは鍵の表面や側面にあるくぼみと、鍵穴のピンが一致することで開く仕組みです。
図で見ると、裏表と側面の3方向にピンが付いていることが分かります。これにより、従来よりもピンの数を大きく増やすことが可能となりました。
ピンの方向とピンの数を増やし、ピッキングを何倍も難しくすることで、高い防犯性を実現しています。
また、ピン自体にアンチピッキング性能を搭載している上に、ピンの数が多いのでピッキングはほぼ不可能と言っても過言ではありません。
複製も難しいのがディンプルキー
ピンの数が増えることで、理論上の鍵のパターンを大幅に増やすことができます。
例えば、MIWAのPRシリンダーは理論上で1,000億通り、GOALのGVシリンダーだと理論上で1,000兆2,800億通りです。
これだけの配列があれば鍵が被ることはありません。また、それだけのパターンから鍵を真似して作ることも相当難しいのです。
バンピングや破壊解錠にも強い
ディンプルキーは後になって開発されたものなので、バンピングや破壊解錠などのピッキング以外の不正解錠にも強いです。
ピン自体が耐かぎ穴壊し性能に優れており、破壊解錠やバンピングに強い鍵が多く販売されています。
ピンの数や頑丈な作りこそディンプルキーの防犯性が高いされる秘訣なのです。
ディンプルキーにもデメリットはある
これだけ防犯性の高いディンプルキーですが、防犯性の高さゆえにデメリットも存在します。
- ・一般的な鍵よりも費用がかかる
・製品によって防犯性が異なる
という2点がデメリットとして挙げられます。
一般的な鍵よりも費用がかかる
これだけ防犯性の高い機能を搭載したディンプルキーなので、作りが精密で複雑になっています。そのため、ディンプルキーそのものの値段が高いです。
精密に作らなければいけない機械や技術、難しい鍵を開ける道具や技術が必要になるので、合鍵や鍵開けの費用も高くなります。
しかし、高いなりに優れた防犯性を誇りますので、値段以上の価値があると思います。
製品によって防犯性が異なる
製品によってピンの数や性能に違いがあるため、すべてのディンプルキーが高い防犯性を誇るわけではありません。
ディンプルキーだから何でもよいというわけではなく、耐ピッキング性能や耐かぎ穴破壊性能の高いものを選びましょう。
特に、CPマークが付いたディンプルキーは防犯性が高いというお墨付きの製品なので、ディンプルキー選びの参考にしてください。
ディンプルキーに交換する方法と費用
ここからは、ディンプルキーの鍵交換と費用について解説します。
思ったよりも安いなと感じた方は、ディンプルキーに交換して防犯性を高めてみてはいかがでしょうか。
ディンプルキーに交換する方法
ディンプルキーに交換する方法は、
- ・自分で部品を買って交換作業を行う
・鍵屋にすべて任せる
の2つあります。
どちらもメリット・デメリットございますので、あなたに合った方で交換してください。
自分で交換する場合
自分でシリンダーを購入して、自分で鍵を交換する方法です。費用を安く抑えたい方におすすめします。
シリンダーはインターネットやホームセンターなどで購入可能です。
購入する際はドアの厚さや鍵の種類などに注意してください。条件に合っていないシリンダーを購入すると、交換できなくなります。
鍵交換や鍵の後付けに関しては、別のコラムで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
鍵屋に依頼して交換する場合
「鍵の知識がないから、どの鍵を選べばいいのかわからない」
「鍵を買ったけれど、取り付けが難しすぎる」
という方は、鍵屋に依頼するのが最善だと思います。
予算や防犯性を鍵のプロに相談しながら決めることができるので、商品選びで間違えることはありません。
しかも、鍵の取り付けまで行ってくれるので、作業の手間も省くことができます。
アフターサービスもあるので、万が一トラブルが生じても安心です。
ディンプルキーを扱う代表的なメーカー
ディンプルキーを購入する上で知っておきたいのが鍵のメーカーです。
メーカーの特性や製品情報を知っておくと、ディンプルキー選びが簡単になります。
今回は日本でトップシェアを誇る鍵メーカーのディンプルキーをご紹介します。
MIWAのディンプルキー
国内トップのシェアを誇るのが美和ロック。取り扱っている代表的なディンプルキーは『PRシリンダー』と『JNシリンダー』の2種類です。
PR シリンダー |
JN シリンダー |
|
---|---|---|
理論上の 桁違い数 |
1,000億 パターン |
172億 パターン |
鍵穴の 構造 |
ロータリー ディスク |
ピン |
鍵穴の 向き |
横向き(リバーシブル) | 縦向き(リバーシブル) |
CP-C認定 | ○ | ○ |
耐かぎ穴 壊し性能 |
G1~G3 | G1~G3 |
耐ピッキング性能 | 10分以上 | 10分以上 |
本体費用相場 ※通販サイト参考 |
7,000円~ | 8,000円~ |
PRシリンダー
PRシリンダーは理論上の桁違い数1,000億通りを誇ります。
全てのタンブラーが揃わないと回転しないロッキングバーと、複雑な形状のアンチピッキングタンブラーを搭載しているため、ピッキングは非常に困難です。
さらに、シリンダー内に高硬度部品を使っているため、耐かぎ穴壊し性能に優れていて、バンピングやドリル攻撃に強くなっています。
JNシリンダー
JNシリンダーは理論上の桁違い数172億通りを誇ります。
精度の高い斜めピンの採用により、ピッキングに強いです。リバーシブルに使えるので、鍵の向きを気にすることなく操作できます。
GOALのディンプルキー
GOALは国内シェア2位を誇る鍵メーカーで、主に関西地方で多く使われています。
GOALが取り扱う代表的なディンプルキーはGPシリンダー・V18シリンダー・GVシリンダーの3つです。
GP シリンダー |
V18 シリンダー |
GV シリンダー |
|
---|---|---|---|
理論上の 桁違い数 |
120億 パターン |
120億 パターン |
1000兆2800億 パターン |
鍵穴の 構造 |
ピン | ピン | ピン |
鍵穴の 向き |
縦向き (リバーシブル) |
縦向き (リバーシブル) |
縦向き (リバーシブル) |
CP-C 認定 |
× | 〇 | 〇 |
耐かぎ穴 壊し性能 |
5分未満 | 10分以上 | 10分以上 |
耐ピッキング性能 | 10分以上 | 10分以上 | 10分以上 |
本体費用相場 ※通販サイト参考 |
6,000円~ | 8,000円~ | 15,000円~ |
GPシリンダー
GPシリンダーは、上、左右の3方向にピンを配置することで、理論上の桁違い数120億通りを実現しています。
ピンの多さやアンチピッキングピンの採用により、ピッキングがほぼ不可能です。
また、誰にでも使いやすいユニバーサルデザインを採用しています。
費用は安いもので6,000円からとなっていて、ディンプルキーとしては極めて経済的です。
V18シリンダー
V18シリンダーは理論上の桁違い数が120億通りで、過酷なアメリカUL防犯認定試験で防犯性が実証された商品です。
アンチピッキングピンの採用やドリリングを防ぐ頑強設計などにより、不正解錠にも強くなっています。
ルブコート処理や特殊なクリック装置などにより、耐久性が上がり、何年も使えるようになっています。
ルブコート処理や特殊なクリック装置などにより、耐久性が上がり、何年も使用可能です。
GVシリンダー
GVシリンダーは理論上の桁違い数1,000兆2,800億通りを誇り、ピッキングなどのあらゆる不正解錠に強い鍵です。
ピンの数が24本もある上に、鍵の段差が5段もあるので、1000兆という理論鍵違い数を実現しています。
ピンはすべてステンレス鋼製にルブコート処理してドリリング対策も万全のため、強度や耐久性も高い優れた鍵です。
このMIWAやGOALの他にも、KABAやSHOWAといったメーカーがあるので、気になる方はこちらも参考にしてみてください。
ディンプルキーの合鍵作成と費用
ここからは、ディンプルキーの合鍵を作る場合の注意点や料金相場などを解説します。
ディンプルキーの合鍵をについて疑問のある方はぜひご覧ください。
ディンプルキーの合鍵を作るのは難しい
一般的な鍵のように、どこでも簡単に合鍵が作れるというわけではありません。
ディンプルキーの合鍵作りは意外と難しく、思わぬ落とし穴が存在します。
場所によってはディンプルキーの合鍵を作れないこともある
ディンプルキーは少しの誤差も許されない精密な作りになっている上に、表面にくぼみをつけるので合鍵の作り方が異なります。そのため、合鍵作りには特別な技術や道具が必要です。
残念ながら、すべての鍵屋やホームセンターでディンプルキーの合鍵を作れるとは限りません。「行ったけど断られて時間を無駄にした」なんてことがないように、事前にディンプルキーの合鍵が作れるのかどうか確認しましょう。
合鍵から合鍵は作れない
合鍵は純正キー(元の鍵)を真似して作ったもので、完璧に同じ作りではありません。そのため、合鍵から合鍵を作ると誤差が生じやすく、トラブルが起こりやすいです。
特に、ディンプルキーのように精密な作りになっている鍵だと、少しの誤差でも鍵が回らなくなり、最悪の場合、抜けなくなります。
鍵屋などはこのようなトラブルを回避するために、合鍵から合鍵の作成を断わる可能性が高いので、ご注意ください。
どこでディンプルキーの合鍵が作れるのか
「じゃあ、どこなら合鍵が作れるの?」と思いますよね。では、合鍵が作れる場所を紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは
- ・鍵のメーカーに依頼する
・インターネットの合鍵業者に依頼する
・鍵屋に持っていく
の3つです。
鍵のメーカーに依頼する
MIWAやGOALなどの鍵メーカーに純正キーを作ってもらう方法です。メーカーのホームページを見れば合鍵の作成方法が載っています。
ホームページから依頼するのか、代理店に依頼するのはメーカーによって異なるので、メーカーのホームページに従ってください。
メーカーの工場で作成して届けるので、1~2週間ほどの時間を要します。費用相場は1本あたり2,000~3,000円前後です。
インターネットの合鍵業者に依頼する
通販サイトやインターネット検索で出てくる合鍵業者に依頼する方法です。基本的にお客様と鍵のメーカーの間に立って、純正キーの作成を行ってくれます。
費用相場は2,000~3,000円程度ですが、ポイントなどを考えるとメーカーより安いかもしれません。
デメリットは、納品が2~4週間ほどかかるため、今すぐに合鍵が手に入らないことです。
インターネットで合鍵作成を依頼する際は、鍵情報や配達場所の住所を伝えることになるので、個人情報の管理がしっかりしている所を選びましょう。
鍵屋に持っていく
最後にご紹介するのは、実店舗のある鍵屋に作ってもらう方法です。
合鍵を作りたい純正キーを店舗へもっていき、複製キーをその場で作ってもらいます。
実店舗のメリットは、すぐに合鍵が手に入ることです。その日や1週間以内に合鍵が必要な方におすすめします。
デメリットは、誤差が生じやすいことです。道具や技術がないと誤差が生じやすく、鍵のトラブルに遭遇する可能性があります。費用相場は安いもので5,000円程度です。
ディンプルキーの合鍵費用相場は高い
一般的な鍵と比べて、ディンプルキーの合鍵費用は高いです。その理由は、鍵の精密さと原価にあります。
ディンプルキーは少しの誤差でも鍵が回らなくなるくらい精密です。合鍵を作るには高い技術力や特殊な機械が必要なため、合鍵作成費用も高くなります。また、鍵を複製するために必要なブランキーも一般的な鍵に比べて高いです。
ディンプルキーの合鍵作成についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ディンプルキーをなくして鍵を開けたい時
「ディンプルキーをなくして家に入れず困っている」
そんな時はどうすれば鍵を開けることができるのでしょうか。鍵をなくした際の対処法から鍵を開ける方法までご紹介します。
まずはなくしたディンプルキーを探す
鍵が見つかることは結構あります。なので、ひとまず身の周りから鍵が落ちていないか探しましょう。
周囲に無ければ、これまで通ってきた道を戻って、鍵を探してください。
カバンを開けた時やポケットなどを触ったときに鍵を落としていることが多いので、そこで絞り込むのもありです。
それでも見つけられない場合は、立ち寄ったお店や近くの交番などに電話してみましょう。落とし物として預かっているかもしれません。
管理会社に相談する
賃貸物件やマンションなどの場合、管理者に相談をしましょう。
賃貸や集合住宅の場合、管理者がマスターキーを持っていて、鍵を開けてくれることがあります。
また、鍵をなくしたことを管理者に報告しなくてはいけません。セキュリティや管理の問題があるので。
鍵を失くした際の対処法については、別コラムで詳しく紹介していますので、そちらを参考にしてみてください。
自分で開けてみる
手元にハンマーやドリル、ピック、テンションなどの鍵開けの道具があれば、自分で鍵を開けることもできます。
今すぐに家に入りたいのならチャレンジするのもありですが、鍵が壊れてしまう可能性があるのでご注意を。
ただし、ディンプルキーは防犯性が非常に高く、個人で開けることは至難の業です。
詳しいやり方は他のコラムでご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
鍵屋を呼ぶ
「自分で鍵を開けることができない」
「鍵を壊したくない」
という場合は、鍵屋を呼ぶのがベストです。
鍵屋ならディンプルキーの鍵開けも壊さずに行ってくれることが多いため、安心して家に入ることができます。
しかも、電話1つあれば呼べるので便利です。
ディンプルキーの開け方
防犯性の高さからプロでも開けるのが難しいディンプルキー。
では、難しいディンプルキーの鍵開けを鍵屋はどうやって行っているのでしょうか。今回は少しだけ紹介したいと思います。
ピッキング
ディンプルキーはピッキングが難しいため、防犯性が高いです。
しかし、製品によってピンの数や防犯性がことなるため、ピッキングできるディンプルキーもあります。
ただ、住宅用のディンプルキーの多くは耐ピッキング性能に優れているため、プロでもピッキングで開けるのは至難の業です。
ドアスコープから開ける
ピッキングができない場合は、ドアスコープから開けることが多いです。
ドアスコープから工具を入れ、内鍵(サムターン)を回して開けます。
この方法なら、ピッキングが困難なディンプルキーでも壊さずに開けられます。
この解錠方法は特殊な道具と技術が必要なため、一見簡単そうに見えますが、なかなか難しいのです。
破壊解錠
ドアスコープがなかったり、特殊な加工がされていたりする場合は鍵を壊して開けます。
ドリルがあれば誰でも開けられる訳ではなく、鍵の構造を知っているないと解錠できません。
鍵によって破壊解錠対策がされていて壊しにくい鍵もありますので、自分で開けるのが困難だと感じたら鍵屋に依頼しましょう。