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鍵穴にクレ556を使ってしまった時の対処法を解説
「鍵が回りにくいのでクレ556を使った」という方が多くいらっしゃいますが、実はとても危険な行為です。
最悪の場合、鍵が回らなくなるかもしれません。
今回は鍵穴にクレ556を使ってしまった後の対処法について解説します。クレ556を使った後に鍵が回りにくくなった方はぜひ試してみてください。
鍵穴にクレ556を使うとどうなるのか
鍵穴にクレ556を使うと潤滑剤の影響で、最初は鍵の動きが良いです。しかし、何度か使用していくと動きが悪くなり、鍵が回らなくなってしまいます。
クレ556に含まれる油分がほこりなどと一緒になって鍵穴内で固まってしまい、摩擦が大きくなったり、鍵穴内のパーツに固着して動かなくなったり、鍵が正しくささらなかったりするため、鍵が回らなくなるのです。
特に、ディンプルキーなど精密な作りをしている鍵ほど、クレ556を使うと回りにくくなる傾向にあります。
鍵穴にクレ556を使ってしまった時にやってはいけないこと
鍵穴にクレ556を使ってしまった時に、無理に鍵を回さないようにしてください。鍵が曲がったり、折れたりするかもしれません。
状況が悪化し、解決にかかる時間や費用が余計にかかってしまいます。
また、再度クレ556を使うのもやめましょう。鍵穴内にゴミがさらに溜まってしまい、洗浄にかかる時間が増える可能性があります。
水や中性洗剤を使うのも良くありません。鍵穴以外の部分に水が入ると錆の原因になりますし、中性洗剤がかえってほこりなどを固着させるので使わないようにしてください。
鍵穴にクレ556を使ってしまった時の対処法
では、鍵穴にクレ556を使ってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか?
使ってしまって心配な方、鍵が回らなくなった方はこちらの方法を行ってみてください。
1鍵穴のゴミを取り除く
鍵が回らなくなってしまうのは、鍵穴内でほこりなどが固まってしまうと説明しました。このほこりを取り出すことができれば、鍵が回るようになります。
ゴミを取り出すには、掃除機を鍵穴に当てて吸引しましょう。掃除機ではなく、エアダスターを使う方法もあります。
ある程度のゴミを鍵穴から取り出すことができますが、隙間に入り込んだり、固まったりしたゴミは別の方法で取り出すことが必要です。
2鍵穴をパーツクリーナーで洗浄する
隙間に入り込んだり、固まったりしたゴミは油汚れなので、油分を分解してくれるパーツクリーナーで洗浄しましょう。
鍵本体の潤滑が悪くならないように、ドアから鍵穴を取り外して作業を行ってください。パーツクリーナーを鍵穴と裏側にたっぷり噴射します。鍵穴からあふれた部分は雑巾などで拭いてください。
鍵をさしてみて、鍵に汚れが付着せず回る状態になったら大丈夫です。
鍵が外れない時にパーツクリーナーを使う方法
鍵が開いていない状態の場合は、鍵を取り付けたままパーツクリーナーで洗浄します。
鍵穴の周辺を養生し、鍵穴の下に布を用意してパーツクリーナーを少しだけ噴射してください。その後、鍵を抜き差しして回るか確認します。
鍵が回るまで少しずつパーツクリーナーで鍵穴を洗浄してください。回ったらそこで作業を止め、鍵を外します。
シリンダーが付いたままパーツクリーナーを大量に噴射すると、鍵本体のグリスまで流してしまい、鍵の動きを悪くしてしまうので、少量ずつ噴射するようにしてください。
3鍵穴専用の潤滑剤を注入する
鍵の動きを良くするために、鍵穴専用の潤滑剤を注入します。
鍵が乾いた状態で、潤滑剤を鍵穴に0.5秒ほど注入してください。その後、鍵を数回抜き差しし、鍵穴全体に潤滑剤が行き渡れば完了です。
鍵に塗布して、抜き差しする方法もあります。
鍵穴からあふれた潤滑剤は雑巾などできれいに拭き取ってください。なお、注入しすぎると、潤滑剤がゴミとなり、鍵が回らなくなるので使いすぎないようにしましょう。
鉛筆でも代用可能
鍵穴専用の潤滑剤が手元に無ければ、鉛筆でも代用可能です。
鍵を鉛筆でなぞり、黒鉛を塗布させます。その状態で鍵穴に抜き差しすると潤滑剤と同じような効果を得ることが可能です。
しかし、あくまでも応急処置なので頻繁には行わないようにしてください。また、黒鉛が入りすぎた場合は掃除機などで取り出すようにしましょう。
クレ556の影響で鍵が回りにくければ分解洗浄を行う
先ほど紹介した方法でも鍵が回りにくい場合は、さらに細かい洗浄が必要です。それを行うには鍵を分解する必要があります。
分解自体は簡単ですが、鍵を元に戻すのが非常に難しく、部品をなくすと鍵が使えなくなるのでプロに依頼するのが良いです。
分解洗浄にかかる費用は大体6,000円~15,000円ほどとされていますが、鍵の種類や状況、地域によって高くなる場合もあります。
クレ556の影響で鍵が回らない場合、鍵交換を検討する
どれだけ鍵を洗浄しても鍵が回らなくなった場合は、修理することが難しいです。そのため、鍵交換を検討しましょう。
新品の鍵になるので、鍵が回りにくいなどのトラブルはほぼ起こりませんし、長く使うこともできます。
賃貸住宅やマンションの場合は、勝手に鍵交換できないことが多いので、貸主や管理組合に連絡をしましょう。
鍵穴に使えるスプレー
今後、鍵が回りにくくなった時にどのようなスプレーを使えばよいのでしょうか?基本的にはパーツクリーナーと鍵穴専用の潤滑剤を使えば大丈夫です。
具体的にどのような商品がおすすめなのか紹介します。
パーツクリーナー
パーツクリーナーは速乾性があり、固まりにくいものを選びましょう。
「JLクリーナー」や「gs パーツクリーナー」などを鍵屋さんは使用しているで、それらを選ぶと良いです。
鍵穴専用の潤滑剤
鍵穴専用の潤滑剤は鍵メーカーごとに用意されていることが多いです。
MIWAの場合は『3069』『クリアスムーサー』、KABAの場合は『カバクリーナー』、GOALの場合『CQ303シリンダー潤滑剤』となっています。
それぞれのメーカーにあったものを使うのが良いでしょう。
他には、フキ『キースムーサー』、『JLスムーサー』なども使われています。
速乾性のある潤滑剤
鍵穴専用の潤滑剤と似たような性質を持つ、速乾性のある潤滑剤も鍵穴に使うことができます。油分が少なく、鍵穴内で埃などと一緒に固まらないので鍵が回らないトラブルは起こりません。
クレ556と同じメーカーから発売されている『ドライファストルブ』がそれにあたります。すぐ乾き、白い粉ようになるので、鍵穴用の潤滑剤と同じような効果を得られます。
鍵の動きを良くしたい方はこちらの使用も検討してみましょう。
クレ556が使える鍵穴はあるのか
クレ556が使える鍵穴も存在します。ディスクシリンダーのように単純な作りになっている鍵です。
ディンプルキーのように複雑な構造をしている鍵はわずかな埃でも不具合が生じ、鍵が回らなくなってしまいます。ディスクシリンダーだと多少の埃や油汚れでも鍵が回ります。
ただし、ディスクシリンダーは廃盤となっており、防犯性に欠ける製品のため、玄関などで使われていることは少ないです。また、重要な場所にディスクシリンダーが付いている場合は早めの交換をおすすめします。
クレ556を鍵穴に使わず正しいメンテナンスを定期的に行おう
鍵が回りにくくなったらクレ556ではなく、掃除機やエアダスターを使ってメンテナンスを行いましょう。そうすることである程度の効果が見込めます。
それでも回らない場合は、パーツクリーナーで鍵穴の汚れをしっかり落とすことが大切です。鍵穴専用の潤滑剤を使いすぎると、逆に鍵が回らなくなるので程よく使用するようにしてください。
月に1回、最低でも半年に1回は鍵穴のゴミを取り除くようにして、鍵が回りやすい状態を維持しましょう。