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玄関の鍵をピッキング対策する方法を解説
映画やドラマなどでよく見るピッキングによる解錠。もし、あなたの家でピッキングが行われて空き巣に入られたらゾッとしますよね。
今回はピッキング対策に方法を解説します。もし、ピッキング対策が不十分だと思う方、ピッキング対策をしたい方の参考になれば幸いです。
ピッキングとは
ピッキングとは、『ピック』と『テンション』という道具を使用して鍵を開ける不正解錠のことです。鍵をさした時と同じピンの配列をピックとテンションを使って作りだすことで鍵が開きます。
ピッキングがうまい人だと、ピッキングした跡が残らず、鍵も壊れていないため、被害に遭ったことに気が付きにくいです。
ピッキングによる空き巣被害
1999年あたりにピッキングによる空き巣被害が増え、2000年には全国で29,211件の犯行を認知しています。
2001年、2002年には19,000件以上のピッキング被害が発生しましたが、2003年には10,000件を切り、令和2年では18件と非常に少ないです。
しかし、ピッキング被害が起こっているのは事実で、対策を行う必要があります。
ピッキング対策が必要になる鍵の種類
どのような鍵がついているとピッキング被害に遭いやすいのでしょうか?
比較的ピッキングに弱いとされる鍵をご紹介します。
ディスクシリンダー
MIWAから販売されていたディスクシリンダー。現在は廃盤となっています。安価な鍵として多くの住宅などで使用されていました。
ディスクシリンダーは構造上、ピッキングに弱いです。そのため、2000年代のピッキング事件で狙われる鍵となりました。
後継品が出てきたこと、廃盤となったことから現在ではほとんど使われていません。もし、ディスクシリンダーを使用している場所があれば、鍵交換をおすすめします。
ピンシリンダー
鍵の型側だけがギザギザしている鍵をピンシリンダーと言います。こちらも比較的ピッキングしやすい鍵です。
GOAL製のピンシリンダーが昔の住宅で使われており、そちらもピッキング事件で狙われていました。現在のGOAL製にピンシリンダーには、アンチピッキング機能が搭載されているため、ピッキングは困難になっています。
住宅の他には、自転車や南京錠にも使われていますが、それらはアンチピッキング機能がないものがほとんどです。針金や安全ピンで開けられてしまうほどピッキングに弱くなっています。
ピッキング対策におすすめの鍵の種類
ディスクシリンダーやピンシリンダーが使われていた場合、どの鍵に交換すればピッキング被害を抑えられるのでしょうか?
ロータリーディスクシリンダー
ディスクシリンダーの後継品として開発されたのが、ロータリーディスクシリンダーです。MIWAのU9が該当します。
タンブラーは9列9枚、4段階になっているので、理論鍵違い数は約1億5,000万通りと多いです。ロータリータンブラーと理論鍵違い数によってピッキングが非常に困難となっています。
鍵屋さんでもピッキングに時間を要するため、ピッキングで開ける人は少ないです。
ディンプルキー
ぽつぽつとしたくぼみが特徴の鍵です。住宅はもちろん、自転車や金庫などでもディンプルキーが使われるほど普及してきました。
鍵穴に使われているピンの数が非常に多いため、理論鍵違い数は億単位を超えるものが多いです。また、アンチピッキング性能を搭載しているものが多く、機能的にもピッキングに強くなっています。
ウェーブキー
波のような刻印がされているのが特徴のウェーブキー。車の鍵に使われていることが多いですが、住宅や自転車などでも使われています。
ウェーブキーでは『サイドバー』と呼ばれるピンを使用しており、これによって鍵が回りません。ピックなどではサイドバーが動かないので、ピッキングがほぼ不可能となっています。
暗証番号キー
ボタンを押して暗証番号を入力して解錠するタイプの鍵です。長沢製作所の『キーレックスシリーズ』などが該当します。
このタイプはそもそも鍵穴がないので、ピッキングをされる心配がありません。また、鍵を持ち歩かなくても良いので、鍵の管理が非常に楽です。
カードキー
カードを差し込んだり、かざしたりして開けるタイプの鍵です。ホテルやレオパレス21の物件でよく使われています。
カードの磁気や穴の形によって解錠するため、鍵穴が必要ありません。そのため、ピッキングでの開錠はほぼ不可能となっています。
電子錠・スマートロック
電池やコンセントからの電力などで動く鍵です。スマホやICカード、暗証番号、指紋認証など製品によって様々な解錠方法があります。
鍵穴を塞いで取り付けるタイプの製品なら、鍵穴が無いのでピッキングは不可能です。ただ、製品によってはサムターンに取り付けるタイプもあるので、一概にピッキング対策ができるとは言えません。
ピッキング対策に向いている鍵の選び方
ピッキング対策をするなら、ピッキングに強い鍵に交換するのが早いです。
ピッキングに強い鍵を選ぶ基準として、CPマークと耐ピッキング性能の2つを見ましょう。
CPマーク
CPマークとは、官民合同会議で定められた基準をクリアした建物部品に与えられるマークです。このマークがあれば、防犯性の高い建物部品となります。
このCPマークが付いている鍵を選べば、防犯性においてハズレはありません。
耐ピッキング性能
その鍵がピッキングに対してそれくらいの抵抗時間を持っているのかを表します。耐ピッキング性能の時間が長いほど、ピッキング対策に長けている鍵です。
CPマークの認定基準は5分以上ですが、さらにピッキングに強い鍵なら10分以上となっています。
鍵交換以外でピッキング対策を行う方法
耐ピッキング性能に優れた鍵に交換すること以外で、ピッキング対策を行う方法もあります。
2重で対策をしたい方、鍵穴へのいたずらなども防ぎたい方は参考にしてください。
鍵穴を塞ぐ
鍵穴にカバーを付けて鍵穴を塞ぐ対策です。専用の鍵がないとカバーが取れないので、第三者によるピッキングを防ぎます。また、鍵穴が見えないので、ボンドや木などを詰められるイタズラも防ぐことが可能です。
ただ、製品が少なく、対応できる鍵も限られています。
ドアノブを塞ぐ
丸い筒状のドアノブだと、ドアノブと鍵穴が一体となっているため、鍵穴にカバーを付けることが難しいです。
その場合は、ドアノブ全体を塞ぐカバーと取り付けましょう。鍵付きのものを選べば、第三者によるカバーの取り外しを防ぐことができます。
カバーとカバーに付ける鍵は、どちらも壊れにくい素材のものにしてください。
鍵を増やす
1つのドアに2つの鍵を取り付けるワンドアツーロックにしましょう。ワンドアツーロックにすることで、鍵を開ける時間と労力が2倍かかるので、空き巣が侵入を諦めるのに役立ちます。
もし、現在鍵が1つしか付いていない場合は、補助鍵などを使って鍵を増やしましょう。賃貸住宅の場合は、穴を開けなくても取り付けられるタイプの補助鍵の使用をおすすめします。
鍵の取付も鍵のレスキューで受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。
ピッキング対策だけでは防犯は不十分
ピッキングは空き巣の手口として0.04%しか使われていません(令和2年)。ドア錠こじ破りや合鍵による解錠、ガラス破り、無施錠による侵入の方が圧倒的に多いです。
ピッキング対策はあくまでも対策もごく一部にしか過ぎないので、そのほかの場所の強化や普段から防犯について心がけることが大切です。
空き巣の嫌がる防犯対策が気になる方はこちらを参考にしてください。
玄関の鍵をピッキング対策して防犯性を高めよう
ピッキングによる被害は減っているとは言え、無くなっていないのが現状です。特に被害の大きくなりやすい家の出入口のピッキング対策は必須と言えます。
空き巣被害に遭わないためにも、耐ピッキング性能に優れた鍵に交換して、安全で快適な生活を送りましょう。