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- マスターキーとは?意味や仕組みなどを徹底解説
マスターキーの解説
『マスターキー』という言葉を耳にしたことのある方は多くいらっしゃるのでは?
「聞いたことはあるけど、意味を知らない」という方や、誤用してしまっている方もちらほら。
普段の生活や鍵屋さんとの会話で齟齬が生まれないためにも、マスターキーの正しい意味を解説しています。
また、マスターキーの種類や仕組み、注意点なども解説しますので、ぜひご覧ください。
マスターキーとは
マスターキーとは、1つの鍵で複数の錠前を開けることができる鍵のことです。
このマスターキーが使われているシステムを『マスターキーシステム』と言い、ホテルやマンションなどで導入されています。
例えば、Aマンションで、101号室・202号室・303号室の3部屋があるとします。
この3部屋すべての錠前を開けられるのがマスターキーです。反対に、各部屋のみを開けられる鍵を子鍵と呼びます。
3部屋はそれぞれ別の錠前を使っているので、101号室の鍵で202号室を開けることはできません。
マスターキーと間違えやすい用語
マスターキーの意味を説明しましたが、「あれっ?知っている意味と違う」という方がいらっしゃるのではないでしょうか?
おそらく、『純正キー』と間違っているかと思います。
純正キーとは、鍵メーカーが直接作った鍵です。MIWAやGOALなどの鍵メーカー名と鍵のIDである鍵番号が刻印されています。
単なる純正キーなら、すべての部屋の鍵を開けられることはありません。
マスターキーの種類
ここからはマスターキーをさらに深堀して、色々なマスターキーの種類をご紹介します。
グランドマスターキー
複数のマスターキーグループの鍵を開けることのできる鍵をグランドマスターキーと呼びます。言うなれば、マスターキーのマスターキーです。
例えば、AとBという建物があったとします。
AとBはそれぞれマスターキーシステムを導入していて、AのマスターキーでBの錠前を開けられない状態になっています。Bも同じで、Aの建物をBのマスターキーで開けることができません。
AとBの鍵とは異なるCという鍵があります。このCという鍵はAの錠前もBの錠前も開けることができます。
この時、Cの鍵がグランドマスターキーです。
グレートグランドマスターキー
複数のグランドマスターキーの錠前を開けることができる鍵を「グレートグランドマスターキー」と呼びます。グランドマスターキーのマスターキーです。
例えば、A・B・C・Dという4つの建物があり、ABを開けられるグランドマスターキーX、CDを開けられるグランドマスターキーYがあったとします。
XでCDの錠前、YでABの錠前を開けることができません。
このABCDすべての建物の錠前を開けることができるZという鍵があったとします。このZがグレートグランドマスターキーです。
マスターキーの仕組み
なぜマスターキーですべての錠前を開けることができるのでしょうか?
その秘密はシリンダー内のピンに隠されています。
通常の鍵はシリンダー内のピンタンブラーに切れ込みが入っています。この切れ込みが正しく綺麗に揃う位置で鍵が回るのです。
つまり、鍵山と切れ込みが一致する鍵でないと錠前を開けることができません。
マスターキーシステムを採用している錠前は、ピンタンブラーの切れ込みが『マスターキー用』と『子鍵用』の2つ分用意されています。
そのため、マスターキーを挿しても、子鍵を挿しても、切れ込みが正しく一致するので、錠前を開けることができるのです。
マスターキーは基本的に作製・複製できない
便利なマスターキーですが、作製・複製することは基本的にできません。
誰もがマスターキーを手にすることができてしまうと、防犯性を著しく下げてしまいます。
鍵メーカーも書類の提出を求めたり、厳重なチェックを行ったりしています。
建物の管理者や所有者でない限りはマスターキーを作れないことを覚えておきましょう。
マスターキーは厳重な管理が必要
マスターキーは防犯に大きくかかわるので、厳重な管理が必要です。盗難や紛失、第三者への譲渡が起こらないようにしなくてはいけません。
マスターキーのありかを教えない、鍵を不用意に持ち出さない、金庫などで厳重に保管するなどを行いましょう。
マスターキー以外のキーシステム
マスターキー以外にも、鍵には色々なシステムがあり、私たちの生活を楽にしてくれています。どのようなものがあるのかご紹介します。
逆マスターキーシステム
逆マスターキーシステムとは、1つの錠前を複数の鍵で開けることができるシステムのことです。
集合住宅のゴミ捨て場や、オートロック部分で使われます。
共有部分用に鍵を持たなくても良いので、鍵の管理が非常に楽です。
コンストラクションキーシステム
建設やリフォーム時に使われるシステムです。
工事中は作業員がコンストラクションキーを使って、部屋の施開錠を行います。
工事が終了して、居住者が子鍵でドアの鍵を使うと、コンストラクションキーでは鍵を開けられなくなります。
つまり、子鍵を使うと、コンストラクションキーは使えなくなるシステムです。
子鍵はコンストラクションキーよりも長く、挿すとシリンダー奥にあるボールが落下し、コンストラクションキーが対応しなくなるようになります。
チェンジキーシステム
シリンダーを交換しなくても、子鍵を交換できるシステムのことです。
交換したい錠前にチェンジキーをさした後、交換したい子鍵を錠前に差し込むだけで鍵交換完了です。
チェンジキーを搭載した錠前で、交換回数の上限に達していない場合にチェンジキーシステムを使うことができます。
入居者が入れ替わる時のシリンダー交換作業が要らないので、作業料や部材費を抑えることができことから、賃貸物件で重宝されています。
車やバイクにもマスターキーは使われる
これまで、住宅や建築物のマスターキーについてお話ししてきました。
建築物だけでなく、車やバイクにもマスターキーが使われていることもあります。
車やバイクでは、『マスターキー』と『サブキー』の2種類が使われやすいです。
マスターキーでは、トランクや運転席など様々な部分の鍵を開けることができます。
サブキーはトランクなどの鍵が開けられないなど、機能を制御してあることが多いです。
ホテルなどで車を預ける際に、余計な部分を解錠されて物が盗まるのを防止する効果があります。
マスターキーを失くすと機能の一部が使えなくなるので、注意してください。